現象から理解する:何が起こり、なぜ起こる?
平面回路を『小さな閉ループ』に分け、それぞれの内部を循環する仮想的なメッシュ電流を置く方法です。KVLとオームの法則を一緒に使うため、枝の数だけ電流未知数を置く方法より方程式が少なくなる場合があります。共有抵抗には、隣り合う2つのメッシュ電流の差が流れます。
複数の抵抗と電源が網目状につながると、すべての枝の電流を直接求めるのは大変です。平面回路の最小の閉ループをメッシュと呼び、それぞれを一周する仮想の電流を未知数として置きます。枝が二つのメッシュに共有される場合、その枝での電流は二つの仮定方向を意識した差になります。
左メッシュが時計回りI₁、右メッシュが時計回りI₂の場合、共有枝の左メッシュ向きの電流はI₁−I₂です。左側のKVLには共有抵抗の電圧降下R(I₁−I₂)が現れ、右側にはR(I₂−I₁)が現れます。
現象を表す公式・定義
この公式を使えるのはどんなとき?
平面の集中定数回路で、各メッシュに電流を仮定してKVLを適用するとき。線形抵抗と電圧源からなる典型例では連立一次方程式になります。
何を代入し、どう使う?
I₁,I₂はメッシュ電流[A]、R_sharedは共有抵抗[Ω]です。共有枝に流れる電流の方向がI₁に沿うと定義した場合R(I₁−I₂)を左のKVLへ代入します。例えば左に2Ω、共有1Ω、電源12Vなら2I₁+(I₁−I₂)=12です。
使えない条件・検算のポイント
非平面回路にそのまま最小メッシュを設定できない場合や電流源の枝を含む場合は別の扱いが必要です。仮定した正方向が実際と逆なら負の電流になります。
現象を図で理解する
模式図は理解を助けるための相対表示です。実際のSI単位の値や境界条件は式・例題で確認してください。
模式図は法則を理解するための補助です。実際に代入する数値や条件は、公式と問題文で確認してください。
式が成り立つ理由・導出の流れ
適用条件:集中定数・線形抵抗の平面回路が対象。メッシュ電流は時計回りなど任意に仮定してよく、負なら逆向き。共有抵抗の電流は両方のメッシュ電流の向きに注意する。
冒頭の基本式は、現象の向き・保存則・変化率から導かれます。下の例題ではどの項を残し、何を既知量とするかを順に確認します。
代表的な計算式
よくあるミス・検算の観点
- 共有抵抗にI₁+I₂を機械的に代入しない。仮定方向が逆なら差I₁−I₂になる。
- メッシュ電流は仮想的な循環電流。実際の枝電流に戻すときは重なり方を確認する。
- 電流源を含むメッシュでは電流拘束条件やスーパーメッシュが必要な場合がある。
単位、符号、初期条件、ベクトルの向きを最後に確認しましょう。
例題1(基本)|何を求めるかから始める
- 左メッシュの固有抵抗2 Ω、右の固有抵抗3 Ω、共有抵抗1 Ω。両ループに時計回りI₁,I₂を置く。
- 左の電源が12 V、右が6 V、両電源の正向きを各ループの時計回り電位上昇とする。
- 左KVL:2I₁+1(I₁−I₂)=12。よって3I₁−I₂=12。
- 右KVL:3I₂+1(I₂−I₁)=6。よって−I₁+4I₂=6。
- 連立するとI₁=54/11 A、I₂=30/11 A。共有抵抗の左向き基準電流I₁−I₂=24/11 A。
- 検算:3×54/11−30/11=12、−54/11+4×30/11=6。両式とも成立。
例題2(標準)|左固有2 Ω、右固有2 Ω、共通2 Ω、左電源6 V、右電源0 V。4I₁−2I₂=6, −2I₁+4I₂=0を解け。
- 右式からI₁=2I₂。左式へ代入して6I₂=6。
- I₂=1 A、I₁=2 A。
演習問題(基本・標準・発展)
基本から段階的に考えるオリジナル問題です。内容確認中の単元には共通の復習問題も残しています。
10 Vの電源と5 Ωの抵抗だけの単一メッシュ。時計回りに流れる電流を求めよ。
手順と解説を見る
- KVLは10−5I=0。
- I=2 A。
12 Vの電源と3 Ωを2個直列に接続した閉ループの電流は。
手順と解説を見る
- 12−(3+3)I=0。
- I=12/6=2 A。
共有1 Ω・左固有2 Ω・右固有3 Ω、電源12 Vと6 Vで時計回りの2メッシュ。3I₁−I₂=12, −I₁+4I₂=6を解き、共有抵抗の電流も求めよ。
手順と解説を見る
- 第1式からI₂=3I₁−12。第2式へ代入すると11I₁−48=6。
- I₁=54/11 A、I₂=30/11 A、共有枝I₁−I₂=24/11 A。
左固有2 Ω、右固有2 Ω、共通2 Ω、左電源6 V、右電源0 V。4I₁−2I₂=6, −2I₁+4I₂=0を解け。
手順と解説を見る
- 右式からI₁=2I₂。左式へ代入して6I₂=6。
- I₂=1 A、I₁=2 A。
左固有1 Ω、右固有1 Ω、共有1 Ω、電源5 Vと1 V。2I₁−I₂=5, −I₁+2I₂=1を解け。
手順と解説を見る
- 第1式からI₂=2I₁−5。第2式へ代入すると3I₁=11。
- I₁=11/3 A、I₂=7/3 A。共有枝I₁−I₂=4/3 A。
時計回りメッシュ電流としてI₁=−1 A、I₂=2 Aが求まった。共有抵抗のI₁向きを正とする枝電流はいくらか。
手順と解説を見る
- 共有枝の電流はI₁−I₂。
- −1−2=−3 A。実際には仮定と逆向きに3 A流れる。
3メッシュについて4I₁−I₂=7、−I₁+4I₂−I₃=0、−I₂+3I₃=5を解け。
手順と解説を見る
- 第1式からI₂=4I₁−7。第3式からI₂=3I₃−5。これらと第2式を連立する。
- I₁=2 A、I₂=1 A、I₃=2 A。各式へ代入して7,0,5と一致。
問題に添えた図は考えるための模式図です。数値や関係を判断するときは必ず問題文の条件を優先してください。
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未完了関連単元・参考資料
前後の単元を続けて読むと、定義から応用までのつながりを確認できます。院試の過去問は大学の公式公開先を参照し、当サイトには独自解説・オリジナル練習問題を掲載します。