電気系大学生の自習室

重ね合わせの理

線形回路なら独立電源ごとの効果を足して電流・電圧を求められる。理想電圧源を停止すると短絡、理想電流源を停止すると開放。

現象から理解する:何が起こり、なぜ起こる?

線形回路では、二つの独立した入力が同時に加わったときの電圧・電流の応答は、それぞれ一つずつ入力したときの応答を足すことで求められます。計算では他の独立電圧源を0 Vの短絡へ、独立電流源を0 Aの開放へ置き換えます。従属電源は回路の関係式なので停止しません。

線形回路で複数の独立電源が電流・電圧に及ぼす影響は、一つの電源だけを働かせた場合の応答を順に計算し、向きをそろえて加えることで求められます。ここで『ほかの電源を停止する』とは、理想電圧源の電圧を0 V、理想電流源の電流を0 Aにする意味です。

たとえば4 Ωの抵抗に12 Vと逆向き4 Vの理想電圧源が直列なら、12 Vだけでは+3 A、4 Vだけでは−1 Aを生むため合計+2 Aです。ただし消費電力は電流の二乗に比例するため、別々の電源が生む電力を足しても合計にはなりません。

現象を表す公式・定義

v=∑kvk,i=∑kik\displaystyle v=\sum_k v_k,\qquad i=\sum_k i_k

この公式を使えるのはどんなとき?

独立電源に対する電圧・電流の応答が線形になる場合に使います。各独立電源を1つだけ有効にし、残りはゼロにして計算します。

何を代入し、どう使う?

v_kは各独立電源が作る符号付きの電圧[V]、i_kは符号付きの電流[A]。Aだけで+2 V、Bだけで−5 Vなら合計は−3 Vです。理想電圧源停止は短絡、理想電流源停止は開放です。

使えない条件・検算のポイント

非線形素子・電源の飽和状態では成り立たないことがあります。従属電源は停止しません。P=I²Rなど二乗で定義される電力には、そのまま適用できません。

現象を図で理解する

R負荷AB源Aだけの応答+源Bだけの応答求める電流・電圧は線形に加算
線形回路では、求める枝電流・電圧は各独立電源が作る応答の代数和。
4 ΩV₁−4 V

模式図は理解を助けるための相対表示です。実際のSI単位の値や境界条件は式・例題で確認してください。

模式図は法則を理解するための補助です。実際に代入する数値や条件は、公式と問題文で確認してください。

式が成り立つ理由・導出の流れ

適用条件:回路の電圧・電流が独立電源に線形に応答する範囲。線形素子および線形従属源を含んでもよい。非線形素子・飽和・電力への直接的な重ね合わせには使えない。

冒頭の基本式は、現象の向き・保存則・変化率から導かれます。下の例題ではどの項を残し、何を既知量とするかを順に確認します。

代表的な計算式

v=∑kvk(線形回路)\displaystyle v=\sum_k v_k\quad\text{(線形回路)}

よくあるミス・検算の観点

  • 理想電圧源の停止は開放ではなく短絡。理想電流源の停止は短絡ではなく開放。
  • 制御変数に依存する従属電源は0にしない。独立電源だけを1個ずつ有効にする。
  • P=I²Rなど二乗を含む電力は一般に重ね合わせられない。

単位、符号、初期条件、ベクトルの向きを最後に確認しましょう。

例題1(基本)|何を求めるかから始める

R負荷AB電圧源を停止→短絡求める電流・電圧は線形に加算
他の独立電圧源を0 Vにすると短絡、独立電流源を0 Aにすると開放。
なぜその法則を使う? 計算の順序と検算
  1. 4 Ωの抵抗を含む線形回路に、同じ向きの電圧源12 Vと逆向きの電圧源4 Vが直列に接続されている。
  2. 電源AだけならBを0 Vの短絡へ置き換え、I_A=12/4=3 A。
  3. 電源BだけならAを0 Vの短絡へ置き換え、I_B=−4/4=−1 A。
  4. 総電流I=I_A+I_B=2 A。直接KVLなら12−4−4I=0でI=2 Aと一致。
  5. 全抵抗の消費電力はP=I²R=2²×4=16 W。各電源単独の36 Wと4 Wを足しても16 Wにはならない。

例題2(標準)|3 Ωの接地抵抗をもつ節点へ、独立した理想電流源1 Aと2 Aが同方向に流入する。節点電位は。

  1. 1 A単独でV_A=3 V、2 A単独でV_B=6 V。
  2. 重ね合わせでV=9 V。KCLでもV/3=1+2で同じ。

演習問題(基本・標準・発展)

基本から段階的に考えるオリジナル問題です。内容確認中の単元には共通の復習問題も残しています。

R負荷AB電力は足せないP ≠ P_A + P_B
電力は電流や電圧の二乗を含むため、各電源ごとの電力を足してはいけない。
基本 1

独立電源Aだけで電圧+2 V、Bだけで−5 Vを生む線形回路。両方有効のときの電圧を求めよ。

電圧+2 Vと−5 V負荷AB応答 = Aの寄与+Bの寄与
問題1の考え方を整理する図。実際の数値・条件:独立電源Aだけで電圧+2 V、Bだけで−5 Vを生む線形回路。両方有効のときの電圧を求めよ。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 線形性により電圧は代数和。
  2. 2+(−5)=−3 V。
基本 2

独立電源Aだけでは電流+2.0 A、Bだけでは−0.3 A。両方での電流は。

電流2 Aと−0.3 A負荷AB応答 = Aの寄与+Bの寄与
問題2の考え方を整理する図。実際の数値・条件:独立電源Aだけでは電流+2.0 A、Bだけでは−0.3 A。両方での電流は。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. それぞれの寄与の向きと符号を揃える。
  2. 2.0−0.3=1.7 A。
基本 3

4 Ωの抵抗に対し、順方向12 Vと逆方向4 Vの電源を直列接続。重ね合わせで電流を求めよ。

12 Vと逆向き4 V, R=4 Ω負荷AB応答 = Aの寄与+Bの寄与
問題3の考え方を整理する図。実際の数値・条件:4 Ωの抵抗に対し、順方向12 Vと逆方向4 Vの電源を直列接続。重ね合わせで電流を求めよ。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 12 Vだけの寄与は12/4=3 A。逆方向4 Vだけの寄与は−4/4=−1 A。
  2. 合計I=2 A。
標準 4

3 Ωの接地抵抗をもつ節点へ、独立した理想電流源1 Aと2 Aが同方向に流入する。節点電位は。

並列電流源1 A+2 A, R=3 Ω負荷AB応答 = Aの寄与+Bの寄与
問題4の考え方を整理する図。実際の数値・条件:3 Ωの接地抵抗をもつ節点へ、独立した理想電流源1 Aと2 Aが同方向に流入する。節点電位は。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 1 A単独でV_A=3 V、2 A単独でV_B=6 V。
  2. 重ね合わせでV=9 V。KCLでもV/3=1+2で同じ。
標準 5

抵抗5 Ωに対し電源Aだけで電流2 A、Bだけで−1 Aを生じる。両電源での消費電力と、各電力の和を比較せよ。

R=5 Ω, I_A=2 A, I_B=−1 A負荷AB応答 = Aの寄与+Bの寄与
問題5の考え方を整理する図。実際の数値・条件:抵抗5 Ωに対し電源Aだけで電流2 A、Bだけで−1 Aを生じる。両電源での消費電力と、各電力の和を比較せよ。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 合成電流I=2−1=1 A。合成消費電力P=I²R=5 W。
  2. 別々に計算した電力は20 Wと5 Wで和は25 W。電力は重ね合わせできない。
発展 6

重ね合わせ計算で理想独立電圧源を停止、理想独立電流源を停止するそれぞれの置換方法を答えよ。

電源の停止:短絡/開放負荷AB応答 = Aの寄与+Bの寄与
問題6の考え方を整理する図。実際の数値・条件:重ね合わせ計算で理想独立電圧源を停止、理想独立電流源を停止するそれぞれの置換方法を答えよ。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 理想独立電圧源0 Vは端子電圧ゼロなので短絡する。
  2. 理想独立電流源0 Aは枝電流ゼロなので開放する。
発展 7

従属電圧源を含む線形回路で独立電源ごとの重ね合わせを計算する。従属電源を停止してよいか。

従属電源は有効のまま負荷AB応答 = Aの寄与+Bの寄与
問題7の考え方を整理する図。実際の数値・条件:従属電圧源を含む線形回路で独立電源ごとの重ね合わせを計算する。従属電源を停止してよいか。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 従属源は電圧・電流などの制御変数に比例し回路の線形関係を担う。
  2. 従属源は有効のまま保ち、独立電源のみを1つずつ有効化する。

問題に添えた図は考えるための模式図です。数値や関係を判断するときは必ず問題文の条件を優先してください。

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未完了

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