電気系大学生の自習室

キルヒホッフの電圧則(KVL)

閉じたループに沿った電圧変化の総和は0。静的な集中定数回路でよく使う。

現象から理解する:何が起こり、なぜ起こる?

キルヒホッフの電圧則(KVL)は、回路の閉じた道を一周して元の点へ戻れば、電位の変化の合計が0になるという法則です。電源で電位が上昇した分、抵抗などで電位が低下します。ループをたどる向きを決め、電位の上昇をプラス、下降をマイナスとして足します。

閉じた回路の同じ点から出発して抵抗や電源を通り、元の点へ戻ってくることを考えます。電源では電位が上昇し、抵抗を電流方向に進むと電位は低下します。電位の変化を順に足していくと、最終的には出発した点と同じ電位に戻るはずです。

10 Vの電源と2 Ω・3 Ωの直列抵抗なら、ループで10−2I−3I=0です。電流Iを求めると2 Aとなり、抵抗による4 Vと6 Vの電圧降下が10 Vに一致します。時計回りと反時計回りのどちらで進んでも、各項の符号を一貫させれば同じ物理的答えです。

現象を表す公式・定義

∑loopvk=0\displaystyle \sum_{\mathrm{loop}}v_k=0

この公式を使えるのはどんなとき?

集中定数回路で、誘導起電力を含む非保存的な電場の影響を電源やコイルなどの回路素子に集約できるとき、素子の端子電圧について用いるループ方程式です。

何を代入し、どう使う?

閉ループを進む向きを一つ決めます。電源で低電位から高電位へ移れば正の上昇、抵抗を電流方向へ進めば−RIの電圧降下として足します。10 Vと2 Ω・3 Ωなら10−2I−3I=0でI=2 A。

使えない条件・検算のポイント

変化する磁束が閉ループを直接貫く場合は誘導起電力の扱いが必要です。KVLを使うときも、コイルを含む回路ではvL=L di/dtなど素子の関係式を別途適用します。

現象を図で理解する

R₁R₂+−V時計回りを正とする
ループの向きを一つ決め、電源の電位上昇と抵抗の電圧降下を足す。
2 Ω3 ΩV

模式図は理解を助けるための相対表示です。実際のSI単位の値や境界条件は式・例題で確認してください。

模式図は法則を理解するための補助です。実際に代入する数値や条件は、公式と問題文で確認してください。

式が成り立つ理由・導出の流れ

適用条件:集中定数回路で、対象ループを貫く時間変化する磁束の影響を回路素子の端子電圧として扱う場合。電流の向きと素子の端子極性を統一して定義する。

冒頭の基本式は、現象の向き・保存則・変化率から導かれます。下の例題ではどの項を残し、何を既知量とするかを順に確認します。

代表的な計算式

∑loopv=0\displaystyle \sum_{\text{loop}}v=0

よくあるミス・検算の観点

  • KVLは閉ループを一周する電圧の和であり、節点で電圧を足すKCLとは違う。
  • 同じ抵抗でもループをたどる向きによって電圧降下の符号が変わる。
  • 任意の時間変化磁束がループを貫く場合、単純な静電的な電位差の総和は0と限らず誘導起電力の扱いが必要。

単位、符号、初期条件、ベクトルの向きを最後に確認しましょう。

例題1(基本)|何を求めるかから始める

R₁R₂+−V電源 = 電圧降下の合計
12 Vの電源なら抵抗による電圧降下を足して12 Vになる。
なぜその法則を使う? 計算の順序と検算
  1. 10 Vの直流電源に2 Ωと3 Ωの抵抗を直列につなぎ、電流Iが流れるとする。
  2. 一周を電源のマイナスからプラスへ進む向きに選ぶ。電源を通ると+10 Vの上昇。
  3. 抵抗には電流方向の電圧降下2Iと3Iがある。KVLは10−2I−3I=0。
  4. I=10/5=2 A。各抵抗の電圧降下は4 V、6 Vで、合計10 V。
  5. ループを逆回りに選ぶと−10+2I+3I=0になり、同じ電流が得られる。

例題2(標準)|15 Vと5 Vの理想直流電源を互いに逆向きに直列接続し、全抵抗が5 Ω。抵抗電流は。

  1. 電源を同じループ方向でたどると電位上昇の正味は15−5=10 V。
  2. 10−5I=0よりI=2 A。15 V側の正方向。

演習問題(基本・標準・発展)

基本から段階的に考えるオリジナル問題です。内容確認中の単元には共通の復習問題も残しています。

R₁R₂+−VΣ電圧 = 0
閉ループを一周して出発点に戻れば、電位差の総和は0になる。
基本 1

10 V電源に2 Ωと3 Ωを直列接続する。KVLから電流を求めよ。

RVΣ電圧=010 V、2 Ω+3 Ω
問題1の考え方を整理する図。実際の数値・条件:10 V電源に2 Ωと3 Ωを直列接続する。KVLから電流を求めよ。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. ループに沿って10−2I−3I=0。
  2. I=10/(2+3)=2 A。
基本 2

9 Vの電源を含むループで、1つ目の素子の電圧降下が4 V。残り1つの素子の電圧降下は。

RVΣ電圧=09 V、電圧降下4 Vと残り
問題2の考え方を整理する図。実際の数値・条件:9 Vの電源を含むループで、1つ目の素子の電圧降下が4 V。残り1つの素子の電圧降下は。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. KVLより9−4−V₂=0。
  2. V₂=5 V。
基本 3

12 V電源に3 Ωと6 Ωの抵抗を直列接続する。電流とそれぞれの電圧降下は。

RVΣ電圧=012 V、3 Ω+6 Ω
問題3の考え方を整理する図。実際の数値・条件:12 V電源に3 Ωと6 Ωの抵抗を直列接続する。電流とそれぞれの電圧降下は。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. KVLより12−(3+6)I=0なのでI=4/3 A。
  2. 電圧降下は3I=4 V、6I=8 Vで合計12 V。
標準 4

15 Vと5 Vの理想直流電源を互いに逆向きに直列接続し、全抵抗が5 Ω。抵抗電流は。

RVΣ電圧=0電源15 Vと逆向き5 V
問題4の考え方を整理する図。実際の数値・条件:15 Vと5 Vの理想直流電源を互いに逆向きに直列接続し、全抵抗が5 Ω。抵抗電流は。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 電源を同じループ方向でたどると電位上昇の正味は15−5=10 V。
  2. 10−5I=0よりI=2 A。15 V側の正方向。
標準 5

10 V電源を含む単一閉回路で直列の抵抗が2 Ωと3 Ωのとき、抵抗間の節点電位を電源負極基準で求めよ(3 Ω側が負極につながる)。

RVΣ電圧=05 Ωと10 V
問題5の考え方を整理する図。実際の数値・条件:10 V電源を含む単一閉回路で直列の抵抗が2 Ωと3 Ωのとき、抵抗間の節点電位を電源負極基準で求めよ(3 Ω側が負極につながる)。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. KVLから電流I=10/(2+3)=2 A。
  2. 負極を0 Vとし、3 Ωを下流にたどると節点電位はV=3I=6 V。
発展 6

充電中の直列RC回路で電源が10 V、瞬間的なコンデンサ電圧が2 V、抵抗が4 Ω。この瞬間の電流は。

RVΣ電圧=0V=10 V、Vc=2 V、R=4 Ω
問題6の考え方を整理する図。実際の数値・条件:充電中の直列RC回路で電源が10 V、瞬間的なコンデンサ電圧が2 V、抵抗が4 Ω。この瞬間の電流は。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. KVLより10=Ri+vC=4i+2。
  2. i=(10−2)/4=2 A。時間に応じvCが変わればiも変わる。
発展 7

9 Vと3 Vの電池を同じ向きに直列接続し、抵抗6 Ωをつなぐ。KVLで電流を求めよ。

RVΣ電圧=0電源9 Vと3 V、R=6 Ω
問題7の考え方を整理する図。実際の数値・条件:9 Vと3 Vの電池を同じ向きに直列接続し、抵抗6 Ωをつなぐ。KVLで電流を求めよ。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 2つの電源の電位上昇は9+3=12 V。
  2. KVLより12−6I=0、I=2 A。

問題に添えた図は考えるための模式図です。数値や関係を判断するときは必ず問題文の条件を優先してください。

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未完了

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