電気系大学生の自習室

キルヒホッフの電流則(KCL)

節点に入る電流の和と出る電流の和は等しい。電荷保存の表現。

現象から理解する:何が起こり、なぜ起こる?

電流則(KCL)は、節点に流れ込む電荷が消えてしまったり、勝手に生まれたりしないという電荷保存の表れです。集中定数回路では、ある節点を囲む小さな領域へ出入りする電流を数えると、電荷の蓄積がない理想節点では和が0になります。

節点は複数の枝が合流・分岐する場所です。電流は電荷が単位時間に移動する量なので、ある節点へ入ってくる電荷と出ていく電荷が釣り合わなければ、節点の電荷が時間とともに変化します。理想節点に電荷が蓄積しない近似では、流入電流の合計と流出電流の合計は等しくなります。

たとえば3 Aと2 Aが流入し、4 Aが流出するとします。残りの枝へ流れ出す電流は1 Aです。別の向きを正に設定しても、すべての枝について符号を統一すれば同じ結果になります。コンデンサが接続されても電流は保存され、充電電流を枝電流として数える必要があります。

現象を表す公式・定義

∑Iin=∑Iout⟺∑kIk=0\displaystyle \sum I_{\mathrm{in}}=\sum I_{\mathrm{out}}\quad\Longleftrightarrow\quad\sum_k I_k=0

この公式を使えるのはどんなとき?

電荷保存を節点へ適用するとき。理想節点の電荷蓄積を無視する集中定数回路では、任意の瞬間に枝電流の代数和を0とします。

何を代入し、どう使う?

Iは電流[A]で、流入を正にするか流出を正にするかを最初に決めます。流入3 Aと2 A、流出4 AとIなら3+2−4−I=0を解いてI=1 Aです。未知の枝電流が負なら最初の仮定とは逆向きです。

使えない条件・検算のポイント

節点で電圧を足す法則ではありません。時間変化するコンデンサの電流などもKCLへ含めます。大きな領域に実際の電荷蓄積がある場合、境界を通る正味電流が内部電荷の変化率に対応します。

現象を図で理解する

AI₁=3 AI₂I₃I₄流入 = 流出
節点に電荷がたまり続けない場合、流れ込む電流と流れ出す電流が一致する。
I₁ (可変)流入2 A流出3 A流出I₄

模式図は理解を助けるための相対表示です。実際のSI単位の値や境界条件は式・例題で確認してください。

模式図は法則を理解するための補助です。実際に代入する数値や条件は、公式と問題文で確認してください。

式が成り立つ理由・導出の流れ

適用条件:集中定数回路の理想節点で、節点自身に電荷が蓄積しない近似。すべての枝電流の正の向きを統一して定義する。

冒頭の基本式は、現象の向き・保存則・変化率から導かれます。下の例題ではどの項を残し、何を既知量とするかを順に確認します。

代表的な計算式

∑iin=∑iout\displaystyle \sum i_{\mathrm{in}}=\sum i_{\mathrm{out}}

よくあるミス・検算の観点

  • KCLは電流についての保存則。『節点に入る電圧=出る電圧』ではない。
  • 求める電流を逆向きに仮定しても問題ない。負の計算結果は仮定向きの逆方向を示す。
  • コンデンサを含む場合、電荷保存は成り立つが、iC=C dv/dtも電流としてKCLに含める。

単位、符号、初期条件、ベクトルの向きを最後に確認しましょう。

例題1(基本)|何を求めるかから始める

AI₁I₂=2 AI₃=4 AI₄=?流入 = 流出
流入3 Aと2 A、流出4 Aのとき残る枝は1 A。
なぜその法則を使う? 計算の順序と検算
  1. ある節点へ3 Aと2 Aが流れ込み、4 Aが流れ出し、もう1本の枝には未知電流Iが出ていくとする。
  2. KCLはΣI流入=ΣI流出。したがって3+2=4+Iと置く。
  3. 式を整理してI=1 A。正だったので、仮定した流出方向で正しい。
  4. 枝電流の向きを全て『節点から外向き正』としても、−3−2+4+I=0となり同じ結果になる。
  5. 回路を複数の節点に分ける場合、各節点でこの保存則と各素子の電圧・電流関係を組み合わせる。

例題2(標準)|12 Vに接続した6 Ωと3 Ωの抵抗を並列に接地する。電源から分岐点へ流れる電流は。

  1. 両抵抗に12 Vかかるので枝電流は12/6=2 A、12/3=4 A。
  2. 節点のKCLで電源電流は2+4=6 A。

演習問題(基本・標準・発展)

基本から段階的に考えるオリジナル問題です。内容確認中の単元には共通の復習問題も残しています。

AI₁I₂I₃I₄流入 = 流出
電流の仮定方向に対して負の結果が出れば、実際は逆方向へ流れる。
基本 1

節点に2.5 Aと1.5 Aが流入し、3.0 Aが流出する。残り1本の流出電流を求めよ。

A流入2.5+1.5 A、流出3.0 A
問題1の考え方を整理する図。実際の数値・条件:節点に2.5 Aと1.5 Aが流入し、3.0 Aが流出する。残り1本の流出電流を求めよ。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 電荷の蓄積がない理想節点なので流入の合計と流出の合計を等しくする。
  2. 2.5+1.5=3.0+I。よってI=1.0 A。
基本 2

0.3 Aが節点へ流入し、0.1 Aが1本の枝から流出する。もう一方の枝の流出電流は。

A流入0.3 A、流出0.1 A
問題2の考え方を整理する図。実際の数値・条件:0.3 Aが節点へ流入し、0.1 Aが1本の枝から流出する。もう一方の枝の流出電流は。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. KCLより0.3=0.1+I。
  2. I=0.2 A。
基本 3

節点から2.0 Aが流出する。流入電流が0.8 Aと未知のIの2本であるときIは。

A流出2 A、流入0.8 A
問題3の考え方を整理する図。実際の数値・条件:節点から2.0 Aが流出する。流入電流が0.8 Aと未知のIの2本であるときIは。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. KCLより0.8+I=2.0。
  2. I=1.2 A(流入)。
標準 4

12 Vに接続した6 Ωと3 Ωの抵抗を並列に接地する。電源から分岐点へ流れる電流は。

A12 V → 6 Ω // 3 Ω
問題4の考え方を整理する図。実際の数値・条件:12 Vに接続した6 Ωと3 Ωの抵抗を並列に接地する。電源から分岐点へ流れる電流は。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 両抵抗に12 Vかかるので枝電流は12/6=2 A、12/3=4 A。
  2. 節点のKCLで電源電流は2+4=6 A。
標準 5

12 Vと0 Vの間に6 Ωと3 Ωを直列接続し、間の節点電位をVAとする。KCLでVAを求めよ。

A12 V — 6 Ω — A — 3 Ω — 0 V
問題5の考え方を整理する図。実際の数値・条件:12 Vと0 Vの間に6 Ωと3 Ωを直列接続し、間の節点電位をVAとする。KCLでVAを求めよ。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. 節点から外向き正で (VA−12)/6+VA/3=0。
  2. 両辺6倍してVA−12+2VA=0。よってVA=4 V。
発展 6

節点へ2.0 mA流入、抵抗から1.2 mA流出し、100 μFのコンデンサが接地している。コンデンサの電圧の上昇率は。

A2 mA流入、1.2 mA流出
問題6の考え方を整理する図。実際の数値・条件:節点へ2.0 mA流入、抵抗から1.2 mA流出し、100 μFのコンデンサが接地している。コンデンサの電圧の上昇率は。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. KCLよりコンデンサへ流入する電流iC=2.0−1.2=0.8 mA。
  2. iC=C dv/dt よりdv/dt=(0.8×10⁻³)/(100×10⁻⁶)=8.0 V/s。
発展 7

4 Aが流入し、2 Aと3 Aが流出している。残りの枝を流出正としてIを求め、その意味を説明せよ。

A流入4 A、流出2+3 A
問題7の考え方を整理する図。実際の数値・条件:4 Aが流入し、2 Aと3 Aが流出している。残りの枝を流出正としてIを求め、その意味を説明せよ。。寸法・長さは模式的に表しています。
手順と解説を見る
  1. KCLより4=2+3+I。
  2. I=−1 A。実際にはその枝から1 A流入する。

問題に添えた図は考えるための模式図です。数値や関係を判断するときは必ず問題文の条件を優先してください。

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未完了

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