現象から理解する:何が起こり、なぜ起こる?
熱方程式は、温度の時間変化が温度の空間的な曲がり(2階微分)によって決まることを表します。温度の山は時間とともに滑らかになります。
棒の一部を温めると、温かい場所から冷たい場所へ熱が流れ、温度の山は時間とともになだらかになります。局所的な温度変化はその点の温度だけでなく、周囲との温度分布の曲がり方で決まります。
位置と時間の二つの変数をもつため、微分方程式には時間微分と空間微分の両方が現れます。境界が固定温度か断熱かによって、同じ式でも結果が変わります。
現象を表す公式・定義
この公式を使えるのはどんなとき?
一定熱拡散率α、内部熱源なし、均質な一次元棒を扱うとき。
何を代入し、どう使う?
uは温度[K]、xは位置[m]、tは時間[s]、αは拡散率[m²/s]。初期温度と両端の境界条件を指定してから解きます。
使えない条件・検算のポイント
熱源がある・物性が温度依存・三次元形状などでは式を変更します。温度が空間的に一様なら右辺は0です。
現象を図で理解する
模式図は法則を理解するための補助です。実際に代入する数値や条件は、公式と問題文で確認してください。
式が成り立つ理由・導出の流れ
適用条件:長さLの一様な1次元棒、熱拡散率κ>0、両端温度u(0,t)=u(L,t)=0、初期温度u(x,0)=sin(πx/L)。
冒頭の基本式は、現象の向き・保存則・変化率から導かれます。下の例題ではどの項を残し、何を既知量とするかを順に確認します。
代表的な計算式
よくあるミス・検算の観点
- 境界条件(両端温度固定か断熱か)で解の形が変わる。
- κの単位はm²/s。時間項の指数は無次元でなければならない。
- 初期条件u(x,0)を代入して一致するか確認する。
単位、符号、初期条件、ベクトルの向きを最後に確認しましょう。
例題1(基本)|何を求めるかから始める
- 支配方程式は ∂u/∂t=κ ∂²u/∂x²。
- 初期分布がsin(πx/L)なので u(x,t)=T(t)sin(πx/L) とおく。
- 空間2階微分は−(π/L)²T(t)sin(πx/L)。
- T′=−κ(π/L)²T、T(0)=1。
- 解はu(x,t)=exp(−κπ²t/L²)sin(πx/L)。境界と初期分布を満たす。
例題2(標準)|u=exp(−κπ²t/L²)sin(πx/L)が両端境界条件を満たすか。
- sin0=0、sinπ=0。
- 両端とも任意のtで0。
演習問題(基本・標準・発展)
基本から段階的に考えるオリジナル問題です。内容確認中の単元には共通の復習問題も残しています。
熱拡散率κのSI単位は何か。
手順と解説を見る
- ∂u/∂tはK/s、∂²u/∂x²はK/m²。
- κはm²/s。
両端の温度を常に0に固定するときの境界条件を書け。
手順と解説を見る
- x=0とx=Lを代入した温度が常に0。
- u(0,t)=u(L,t)=0。
u(x,0)=sin(πx/L)におけるx=L/2の初期温度(振幅1)を求めよ。
手順と解説を見る
- sin(π/2)=1。
- 温度(規格化値)は1。
u=exp(−κπ²t/L²)sin(πx/L)が両端境界条件を満たすか。
手順と解説を見る
- sin0=0、sinπ=0。
- 両端とも任意のtで0。
κを2倍にすると一次モードの減衰時定数はどうなるか。
手順と解説を見る
- 時定数τ=L²/(κπ²)。
- κを2倍にするとτは半分。
初期温度が2sin(2πx/L)の場合の時間発展を求めよ。
手順と解説を見る
- 2次モードの減衰指数は−κ(2π/L)²t。
- u(x,t)=2exp(−4κπ²t/L²)sin(2πx/L)。
断熱端では、温度を固定する条件ではなく何を境界で指定するか。
手順と解説を見る
- 熱流束は−k∂u/∂xに比例する。
- 断熱では熱流束0なので ∂u/∂x=0(ノイマン境界条件)。
問題に添えた図は考えるための模式図です。数値や関係を判断するときは必ず問題文の条件を優先してください。
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未完了関連単元・参考資料
前後の単元を続けて読むと、定義から応用までのつながりを確認できます。院試の過去問は大学の公式公開先を参照し、当サイトには独自解説・オリジナル練習問題を掲載します。