現象から理解する:何が起こり、なぜ起こる?
固有ベクトルは線形変換後も同じ直線上にある非零ベクトルで、変化倍率が固有値です。
一般の行列はベクトルの長さも方向も変えます。しかし特別な方向に沿うベクトルは、行列を掛けても同じ直線上にとどまります。
この特別な方向が固有ベクトルで、伸縮・反転の倍率が固有値です。固有値が負なら向きが反転し、0ならゼロベクトルに移ります。
現象を表す公式・定義
この公式を使えるのはどんなとき?
正方行列Aに対して非零ベクトルvが同一直線上へ写る方向を求めるとき。
何を代入し、どう使う?
まず固有方程式det(A−λI)=0からλを求め、次に(A−λI)v=0を解きます。最後にAv=λvを検算します。
使えない条件・検算のポイント
固有値が重複しても独立な固有ベクトルが十分にあるとは限りません。例:[[2,1],[1,2]]は(1,1)を3倍します。
現象を図で理解する
模式図は理解を助けるための相対表示です。実際のSI単位の値や境界条件は式・例題で確認してください。
模式図は法則を理解するための補助です。実際に代入する数値や条件は、公式と問題文で確認してください。
式が成り立つ理由・導出の流れ
適用条件:A=[[2,1],[1,2]]は実対称2×2行列。0でないvがAv=λvを満たす。
冒頭の基本式は、現象の向き・保存則・変化率から導かれます。下の例題ではどの項を残し、何を既知量とするかを順に確認します。
代表的な計算式
よくあるミス・検算の観点
- 固有ベクトルは0であってはいけません。
- 固有値が重複していても必ず対角化できるとは限りません。
- 固有方程式は det(A−λI)=0、固有ベクトルは (A−λI)v=0 の2段階で求めます。
単位、符号、初期条件、ベクトルの向きを最後に確認しましょう。
例題1(基本)|何を求めるかから始める
- det(A−λI)=(2−λ)²−1=(λ−1)(λ−3)=0。
- 固有値はλ=1,3。
- λ=3では (A−3I)v=0からx=y、固有ベクトル(1,1)ᵀ。
- λ=1ではx=−y、固有ベクトル(1,−1)ᵀ。
- A(1,1)ᵀ=(3,3)ᵀ、A(1,−1)ᵀ=(1,−1)ᵀで確かめる。
例題2(標準)|diag(3,−1)の幾何学的な作用を述べよ。
- x軸方向は3倍、y軸方向は反転して1倍。
演習問題(基本・標準・発展)
基本から段階的に考えるオリジナル問題です。内容確認中の単元には共通の復習問題も残しています。
diag(2,5)の固有値と固有ベクトルを求めよ。
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- λ=2に(1,0)ᵀ、λ=5に(0,1)ᵀ。
零ベクトルを固有ベクトルに含めない理由を述べよ。
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- A0=λ0は任意のλで成立するため固有値を区別できない。
Aの跡と行列式を求め、固有値の和と積を比較せよ。
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- trA=4=1+3。
- detA=3=1×3。
diag(3,−1)の幾何学的な作用を述べよ。
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- x軸方向は3倍、y軸方向は反転して1倍。
Aを対角化するPとDの一例を示せ。
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- P=[[1,1],[1,−1]]、D=diag(3,1)。
- AP=PDより A=PDP⁻¹。
実対称行列の相異なる固有値に対応する固有ベクトルが直交する理由を示せ。
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- Av=λv、Aw=μw、Aᵀ=Aから(Av)・w=v・(Aw)。
- (λ−μ)(v・w)=0。λ≠μならv・w=0。
A=[[1,1],[0,1]]は固有値1が重複する。対角化できるか調べよ。
手順と解説を見る
- det(A−λI)=(1−λ)²。固有値1の代数的重複度は2。
- (A−I)v=0より y=0、固有ベクトル空間は(1,0)の一次元。
- 独立した固有ベクトルが2本得られないため対角化できない。
問題に添えた図は考えるための模式図です。数値や関係を判断するときは必ず問題文の条件を優先してください。
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未完了関連単元・参考資料
前後の単元を続けて読むと、定義から応用までのつながりを確認できます。院試の過去問は大学の公式公開先を参照し、当サイトには独自解説・オリジナル練習問題を掲載します。