現象から理解する:何が起こり、なぜ起こる?
負帰還が働き線形動作している理想演算増幅器では、反転端子と非反転端子の電位が等しくなり、入力電流は0と考えられます。
オペアンプは二つの入力端子の微小な電圧差を大きく増幅する素子です。出力の一部を反転入力へ戻す負帰還があると、出力が入力差を小さくする方向に調整されます。
理想的な線形動作では二つの入力電位がほぼ等しくなる『仮想短絡』を使えます。ただし端子間が短絡しているわけではなく、理想入力電流は0です。
現象を表す公式・定義
この公式を使えるのはどんなとき?
非反転入力が0Vに接続され、入力抵抗Rinと帰還抵抗Rfの反転増幅器で、負帰還が働き、出力が飽和していないとき。
何を代入し、どう使う?
Vin,Voutは電圧[V]、Rin,Rfは抵抗[Ω]。仮想接地点で入力抵抗を流れる電流と帰還抵抗を流れる電流を等しく置きます。
使えない条件・検算のポイント
電源電圧を超える出力は得られません。負帰還なし、飽和時、高周波の有限帯域では単純な利得式は成り立ちません。
現象を図で理解する
模式図は法則を理解するための補助です。実際に代入する数値や条件は、公式と問題文で確認してください。
式が成り立つ理由・導出の流れ
適用条件:理想オペアンプ、負帰還、出力飽和なし。非反転入力はGND、Rinは入力抵抗、Rfは帰還抵抗。
冒頭の基本式は、現象の向き・保存則・変化率から導かれます。下の例題ではどの項を残し、何を既知量とするかを順に確認します。
代表的な計算式
よくあるミス・検算の観点
- 仮想接地を導線のGNDと同じ扱いにしない。入力端子にはほとんど電流が流れない。
- この利得式は負帰還と線形動作の条件が必要。出力飽和中は成り立たない。
単位、符号、初期条件、ベクトルの向きを最後に確認しましょう。
例題1(基本)|何を求めるかから始める
- 反転端子は仮想接地で約0V、ただし物理的に接地されたわけではない。
- 理想オペアンプへの入力電流は0なので、Rinを通る電流はRfへ流れる。
- (Vin−0)/Rin=(0−Vout)/Rf。
- 整理してVout=−(Rf/Rin)Vin。符号は入力と出力の反転を表す。
例題2(標準)|Rin=4 kΩ、Rf=12 kΩの電圧利得を求めよ。
- −Rf/Rin=−12/4。
- 電圧利得−3。
演習問題(基本・標準・発展)
基本から段階的に考えるオリジナル問題です。内容確認中の単元には共通の復習問題も残しています。
Rin=10 kΩ、Rf=20 kΩ、Vin=1 V。反転増幅器のVoutは。
手順と解説を見る
- 利得は−Rf/Rin=−2。
- Vout=−2 V。
理想オペアンプの入力端子に流れる電流は。
手順と解説を見る
- 入力インピーダンス無限大と仮定。
- 入力電流0 A。
反転増幅器の出力は入力に対して同相か逆相か。
手順と解説を見る
- 利得−Rf/Rinは負。
- 極性反転(正弦波なら位相差180°)。
Rin=4 kΩ、Rf=12 kΩの電圧利得を求めよ。
手順と解説を見る
- −Rf/Rin=−12/4。
- 電圧利得−3。
Vin=−0.5 V、利得−4で線形動作する場合のVoutは。
手順と解説を見る
- Vout=(−4)×(−0.5)。
- Vout=+2 V。
Rin=10 kΩ、利得−5を実現したい。Rfはいくつか。
手順と解説を見る
- −Rf/Rin=−5。
- Rf=50 kΩ。
±5 V電源の反転増幅器で利得−10、Vin=1 V。理想線形利得式の予測と実際の限界を述べよ。
手順と解説を見る
- 線形式は−10 Vを予測。
- 電源±5 Vの範囲を超えるため実際は飽和し、−10 Vは出力できない。
問題に添えた図は考えるための模式図です。数値や関係を判断するときは必ず問題文の条件を優先してください。
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未完了関連単元・参考資料
前後の単元を続けて読むと、定義から応用までのつながりを確認できます。院試の過去問は大学の公式公開先を参照し、当サイトには独自解説・オリジナル練習問題を掲載します。