現象から理解する:何が起こり、なぜ起こる?
コイルに流れる電流が変化すると、自己誘導によって変化を妨げる電圧が生じます。直流ステップ電圧を加えても電流は瞬時に最終値へ跳びません。最初はコイルに電源電圧がほぼかかり、時間とともにコイルの電圧が減少して抵抗の電圧降下が増えます。
コイルを流れる電流が変わると、コイルを貫く磁束が変化し、その変化を妨げる誘導起電力が生まれます。だから電流はスイッチの瞬間に飛びません。
直流を加えた直後はコイル電圧が大きく、電流が増えるにつれて抵抗の電圧降下が増加し、コイルにかかる電圧は小さくなります。
現象を表す公式・定義
この公式を使えるのはどんなとき?
一定のR,Lと直流電圧Vの直列RL回路で、初期コイル電流i(0)=0の場合。
何を代入し、どう使う?
Lはインダクタンス[H]、Rは抵抗[Ω]、τは時定数[s]。KVLからV=Ri+Ldi/dtを立て、最終電流V/Rとτを計算します。
使えない条件・検算のポイント
初期電流i0がある場合は一般解を使います。t=0で0 A、十分時間が経つとV/Rになり、電流は連続です。
現象を図で理解する
模式図は理解を助けるための相対表示です。実際のSI単位の値や境界条件は式・例題で確認してください。
模式図は法則を理解するための補助です。実際に代入する数値や条件は、公式と問題文で確認してください。
式が成り立つ理由・導出の流れ
適用条件:理想直流電圧源V>0、抵抗R>0、インダクタンスL>0を直列接続。t=0で投入、i(0)=0。
冒頭の基本式は、現象の向き・保存則・変化率から導かれます。下の例題ではどの項を残し、何を既知量とするかを順に確認します。
代表的な計算式
よくあるミス・検算の観点
- RCとRLの時定数を取り違えない。RLではτ=L/Rで単位は秒。
- 電流i(0+)はi(0−)から瞬時に跳躍しない(理想有限電圧のコイル)。
- コイルの蓄積エネルギーは½Li²。容量Cと混同しない。
単位、符号、初期条件、ベクトルの向きを最後に確認しましょう。
例題1(基本)|何を求めるかから始める
- 求めたい未知量はコイルと抵抗を流れる電流i(t)。
- KVLより V=Ri+L di/dt。定常値はdi/dt=0からi∞=V/R。
- 変化速度は di/dt=(V−Ri)/L。定常値との差は指数関数的に減少する。
- 初期条件i(0)=0を使うと i(t)=(V/R)(1−exp(−Rt/L))。
- 時定数はτ=L/R。t=τでi(t)≈0.632V/R、t→∞でV/Rとなる。
例題2(標準)|R=5 Ω、L=2 H、V=10 V。t=τで電流を求めよ。
- i(τ)=(V/R)(1−e⁻¹)。
- 2×0.6321≈1.26 A。
演習問題(基本・標準・発展)
基本から段階的に考えるオリジナル問題です。内容確認中の単元には共通の復習問題も残しています。
R=5 Ω、L=2 HのRL回路の時定数を求めよ。
手順と解説を見る
- RL回路の時定数は抵抗とインダクタンスの組合せで決まり、τ=L/Rを用いる。
- 単位H/Ω=sを確認してτ=2/5=0.4 s。
V=10 V、R=5 Ωを長時間接続したときの電流は。
手順と解説を見る
- 定常状態でdi/dt=0。
- i∞=V/R=2 A。
i(0)=0のRL回路に直流電圧を印加した直後、電流は何Aか。
手順と解説を見る
- コイル電流は瞬時に変化しない。
- i(0+)=0 A。
R=5 Ω、L=2 H、V=10 V。t=τで電流を求めよ。
手順と解説を見る
- i(τ)=(V/R)(1−e⁻¹)。
- 2×0.6321≈1.26 A。
RL回路で定常値の90%に達するまでの時間をτで表せ。
手順と解説を見る
- 0.9=1−e^(−t/τ)よりe^(−t/τ)=0.1。
- t=τ ln10≈2.303τ。
i(0)=I₀のRL回路で、直流電圧Vを加えた後の一般解を求めよ。
手順と解説を見る
- 定常解i∞=V/R、同次解Ce^(−Rt/L)。
- i(t)=V/R+(I₀−V/R)e^(−Rt/L)。
L=2 H、定常電流2 Aのコイルに蓄えられる磁気エネルギーは。
手順と解説を見る
- U=½Li²。
- ½×2×(2)²=4 J。
問題に添えた図は考えるための模式図です。数値や関係を判断するときは必ず問題文の条件を優先してください。
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未完了関連単元・参考資料
前後の単元を続けて読むと、定義から応用までのつながりを確認できます。院試の過去問は大学の公式公開先を参照し、当サイトには独自解説・オリジナル練習問題を掲載します。